着るものは消耗品でもあるので、
大雑把にいえばクローゼットの中身はつねに新陳代謝を重ねています。
50年も生きてくると、自分の選ぶ洋服はだいたい似通ったものになってきました。
それは、自分の好みの中で機能的にも生活にフィットするものという単純な基準であるため、変える必要性はみあたりません。選ぶのに迷いがなくなることは生活がシンプルになるので、いいことであると同時に新鮮味を感じることは少なくなっていました。
そんな中で、今までの自分になかった選択肢として和装を取り入れたくなりました。
民族衣装という感覚はないとはいえ、自分が生まれ育った日本の過去を振り返る上で外せないものでもあるし、あくまでもオルタナティブな感覚 ! !というのがしっくりきます。
作務衣もいいんじゃないという意見もありますが、現時点ではやっぱりきものがいいなと思っています、純粋にかっこいいと思います。笑) というわけでここでは、和装にステンシルをするようになった流れを記録しておきたいと思います。
'16の秋にタイでの長期滞在を終えて帰国してからというもの、ステンシルをしたい布が見つからずどうしたものか、という状態が続いていました。
'18の春に、友人が運営する川根本町の菜食民宿の『あさゐ』さんの雑貨コーナーで浜松の『千織』さんの遠州木綿と出会い、自分が生活している同じ静岡県内でこんなにかわいい布を織る文化があることを知りました。そこから、遠州木綿にステンシルを施したくるみボタンを作り始めました。
その夏に、再びあさゐさんにて自分が現在 半幅帯に使っている「つぶつぶ」という名前がついた白い生地を、自分のために千織さんで見つけてきてくれました。そのつぶつぶに筆で色をのせるとなんともいい味がでることがわかり、つぶつぶを使ってクルミボタン以外の何かを作りたいと考え始めました。
しばらく時間が流れ '19のゴールデンウィーク直前に、これまた浜松のグラノーラ専門店の「JIYUTEI」さんから室内用の節句幟の個人オーダーをいただきました。サイズは縦160cm、横は遠州木綿の生地幅約38cmで作りました。その頃の自分はA4が基本で大きくてもA3程度の大きさのものしか作っていなかったので、このサイズ感は久しぶりでした。さらに出来上がった節句幟を見て、これは和装関係で何かできるのでは?と思い調べはじめて、すぐに「いとへんのまち」を知りました。
ゴールデンウィーク明けに千織さんにて『染めつ紡ぐ浜松』の廣上さん、『いとへんのまち』の運営委員の斎藤さんらと合流して、今までの作品をみてもらいながらいろいろと教えてもらったうえで、YouTubeでの自習がはじまりました。
ちなみによく見たチャンネルは
・あづまや きものひろば てれびじょん
・ふだん着物のtonton
・京都きものTV
6月。まずは半幅帯を作ってみよう、と決めたと同時に自分でも着物を着てみたいと思うようになり正統派の着物についても、少しは知っておこうということで「きもの装・遊・楽・和の会」という きものの勉強会に出席するようになりました。
そして8月に自分用のきものを千織さんで発注して、半幅帯の具体的なデザインを考え始めました。
およそこんな流れで現在に至ります。
振り返ってみると和装に興味をいだいてから10ヶ月程度という、超ビギナーにもかかわらず、最初にヒットした「いとへんのまち」に出店するってとてもラッキーだとおもいます。
こうなるとは意図せずあさゐからはじまった和装の世界への道のり、いままでに出会うことができた皆様に感謝しかありません。
ありがとうございます。
日々精進して参りたいとおもっています。